某国博士課程前半戦を振り返る

前半戦好調でもこうなる

こんにちは。和平主義ポピュリストVTuberのラス・プーチン・ラス・ダークネスです。

こと慟哭にぎりです。ロマノフ家一族は別に殺さなくても良かったと思う派です。

時の流れは早いことで僕がヨーロッパの博士課程に来てぼちぼち過程も折返しなので、簡単に前半戦を振り返っていきます。簡単にまとめるとそこそこかなって感じです。

何してたか

そもそも何してたっけ?ってところを時系列でまとめることから始めます。ぶっちゃけ既にあんまり覚えていません。正直博士課程そのものの進捗よりも副業と両立仕切ったことを褒めたい。

4-6月

この辺はごく普通に文献レビューでテーマを探すところから始めていました。僕のポジションは所謂プロジェクトベースではなくチェアベースだったので、特にテーマが決められておらず0から探し始めることになりました。こんな状況なのに6月に進級試験がありましたが、このときには既にある程度テーマは固められていたようです。流石に今見ると甘い箇所も多いですが、文献レビューのみにしてはよくProblem Statementがまとめられていたと思います。

6-9月

このあたりはラボのロボットプラットフォームが全部古かったので、ハードとソフトの両面から実装をブラッシュアップしました。あとはシミュレータがどうしても必要だったので。こちらについても再整備しました。メカとエレキからほぼ全とっかえみたいになっちゃったので、結構キツかったですが、この辺は修士と社会人時代の経験が生きてパパっと終わらせられました(それでも3ヶ月かかってますが…)。とにかくモータの組み込みAPIが鼻糞で一生それと戦っていました。あとエロビデオ屋のLinuxカーネルもうんちです。

10-12月

マジでこのあたり何してたか覚えていません。10月にモンテネグロに出張?ワークショップ?で行ってそれは超満喫しました。それ以外は覚えていません。多分副業がやや佳境だったのでそれとアドベントカレンダー用のUnityの勉強とかしてたんだと思います。だとしたらバカすぎだろ。

12-1月

一時帰国。日本最高!鳥貴族最高!ラーメン二郎最高!

1-3月

突然論文を投稿し始めます。IROSというロボット系のトップカンファレンスに出すために1ヶ月で実験をまとめ、とりあえず提出しました。まあこれは後にリジェクトを食らうのですが、残当って感じですね。

3-4月

論文量産体制に入ります。シミュレータ環境、実機環境、ML学習環境が安定期に入ったので、Proposalを実装する段階に入りました。あとはこの段階でインターンが入ったので、いい感じに分担して2並行で理論実装を開始したのがこの頃です。ICRAのWorkshopセッションとAUVカンファレンスにそれぞれ投稿し、これに関してはどちらも採択されました。個々で研究室の卒業生の論文のレビューで追加実験が必要になり、それに参加したことで3rd Autorに乗り込むことができました。ガチのTop Journalなので、採択されるかはだいぶわかりませんが、採択されると良いなあ…

5月

学会ついでに一時帰国。日本最高!鳥貴族最高!ラーメン二郎最高!あと久々にマスター時代のPIに会いました。修論をまとめた塩漬けになってるジャーナル投稿をまとめると誓いましたが、まだやってません。95%できてるので、あとは出すだけなんですけどね…

6-9月

日本からヨーロッパから帰ってすぐの頃はロンドンにメジャーリーグを見に行ったりオックスフォードのワークショップに参加したりとダラダラしていました。先述の通りIROSにリジェクトを食らって、正直俺はあまりやる気がなかったのですが、PIの命令勧めでICRAの正規セッションに出し直すことになりました。この際もともと1つのプラットフォームで実験してたのですが、3つに拡大しそれぞれ物理モデルを設計し、RLのポリシー共有も行うという事項を追加し、ほぼ別物の論文になってしまいました。これで通らなかったら費用対効果的に色々苦しいのですが、カンファのレベルも上がっているので五分でしょう、、、それだけなら良かったのですが、以前採択された論文の発表がボストンで締め切りの2日後にあり、その翌週から1ヶ月イタリアに派遣滞在とかいう頭おかしいスケジュールになってしまいました。またここでインターン生と共同成果も別のProceedingsにまとめています。これは所謂Tier2カンファなのでまあ通るやろと思っているのですが普通に採択率50%切ってるらしくてこいつも怪しいところです。

10月

イタリア滞在中 パスタうめ〜〜〜〜

スケジュールまとめ

まあクソ暇なときと忙しいときの両極端ですが、ダラダラ絞られるよりはこっちのほうがメンタル的にも良いんじゃないかなと思います。

研究・論文

研究に関しては所謂非線形制御とML主軸のデータ駆動形手法の合わせ技みたいな感じです。あんまり全部MLで行くのは好きくないので、モデルベースのシンプルで不完全な数式ベースの手法をNNとデータでどう補完できるか、という感じです。結構ナウさと面白さと卒業後の給料期待値でいい具合にまとまったテーマかなと思います。アプリケーションは水中かつ生体模倣ロボットなので、Noveltyはまあ良いのですがどうSignificantを出すかに苦労しています。

1年半で取り組んだ論文はまとめると下記です

投稿済

  • 5 Proceedings (5主著, 2採択, 1リジェクト, 2査読中)
  • 1 Journal Articles (1共著, 1査読中)

執筆中

  • 1 Proceedings (1主著, 2025/2締切)
  • 1 Journal Articles (1主著)

…まあ卒業はできるでしょう。この分野は学会の査読が厳し目なので、プロシーディングスが多いことにあんまり文句をつける人はいないでしょうが、それでもそろそろでかめのジャーナルを書く戦略に切り替えて行きたいですね(IEEE Transactions とか)。プロシーディングスでコア技術を投稿→ジャーナルで最適化、詳細分析も踏まえて投稿という戦略を考えていたのですが、思いの外本命に限って査読が落ちているのと1stレビューに時間がかかることもあり横並びの人海戦術で一発芸をめっちゃするみたいになっています。まあええでしょう。

副業

1つは一年で切り上げたのですが、もう一つは何だかんだそのまま続いています。もともと時給制だったのですが、去年末あたりから月月固定性になったので、ありがて〜と思っていた矢先何が何でも1ヶ月最低限成果は出さなきゃならんみたいな状況になりこの夏とかはしんどかったです。自分で言うのもなんですが結構頑張ってコミットしてると思います。副業ネタで論文になりそうなものがいくつかあるので、今後は年1程度でこっちのネタも出せるように動きたい、、、医療系なのですが普通の産業に比べると論文投稿にもやや前向きなのが助かります。正直こっちのネタもTransactionsとかに狙えなくもないとは思うのですが、リバイスに時間を避けないのでいい落とし所を見つける必要があります。

ヨーロッパの博士ってどうよ?

どうなんでしょうね?工学に関してはは身を粉にしてガチでやるならアメリカ、それ以外は旧帝でいい気もします。けど正直労働環境と待遇については日本の比にはならないかもしれません…学振も良くなってきてる?って聞いてますけど流石に辛いものがあります。ポスドクに関してはもう…

給与に関してはいわゆるSTEM分野に関してはヨーロッパ(UK除く)は劇的に良くなっています。日本も同じですがそうでもしないと人材が産業界に取られるらしいです(残当)

一応エストニアの制度について説明しておくと、所謂年俸制で、残業代は出ませんが毎月固定の給与が払われます。ここで重要なのは奨学金でなく給与扱いということで税金がガッツリ引かれます。逆に言えばそれで社会保障も受けられ、有給休暇ももらえます(年間42日)。一応年に1回(なぜか今年は2回あった)昇給があり、恐らくインフレ率に合わせて昇給されます。恐らくUK以外のヨーロッパではだいたい同じです。ドイツとかは入学時の契約がシビアで、フルプライスでもらえなかったりするのとオランダでは4年目まででもらえる額に結構差があるなど地味な違いはあります。エストニアは留年しても無限に昇給する(意味不明)ですが、イタリア等は規定年数でシビアに給与の支払いがストップするなど違いがあるようです。デンマークとかは給料めっちゃ良いらしいですよ!すごい!すごいぞ!

じゃあエストニアはどうか?というと給料比で家賃と物価はやすいので、コスパはええんでない?という感じがします。スイスやノルウェーほど衝撃的な給料はもらえませんが、イタリアやフランスほど哀愁も漂いません。たぶんだいたいドイツよりちょい安いくらいで、エストニアとしてはスウェーデンやフィンランドあたりの水準に合わせるよう努力しているのだと思います。まあ尤もスウェーデンやフィンランドは物価比ではやや渋めの印象なので、頑張っていますね。具体的な額はまあ年換算で修士の新卒2年目くらいだと思います。今は円安なので+αあるかないかくらいじゃないですかね。エストニアの物価と生活スタイル(引きこもり)だと普通に余りますが、すべて一時帰国時に放出されるのであまり意味がありません。

ちなみにUKの制度は他のヨーロッパと全然違い、USや日本のような競争型の奨学金ベースになっています。しかしもらえたとしても結構ひもじい額のようです。それでもUKは謎に世界ランキング(笑)が高い大学が多く、奨学金がもらえずとも世界中から金持ちが集まってるそうです。この国のこと好きなやつおるん?

まとめるとアメリカに行けということになります。でなければETHです。単純明快。

つぎの予定

論文執筆中心になるでしょう。もう理論は結構固まってきており、実装のフレームワークも安定しているので、うまく生産していきたいところです。あとはヨーロッパでは結構インターン生や修士の学生を自由に使える(言い方が悪い)のでアウトソーシングして変に広がっている部分もうまく実績として巻き取っていきたいですね。

ほか

思うんですけど日本の修士ってマジでキツイし修士卒の学生って平均取ると相当優秀ですよね。あと生活は別に日本でもエストニアでもPCでVの動画見るだけなので大して変わりません。イタリアはネットがカスでよく停電するので許せません。

おつるし